短期間で治療が可能な 「セラミック矯正」について
セラミック矯正とは、出っ歯やでこぼこの歯並びの原因となっている歯の形やすきっ歯の隙間を、セラミック製の人工の歯を被せることで整え、歯並びをきれいにする治療法です。今ある歯を削り、ラミネートべニアやオールセラミッククラウンを被せることで歯並びを美しく整えます。また、歯並びだけではなく、全体的に削った歯にセラミックを被せることで色・形も含めたトータルバランスを改善することも可能です。マウスピースやワイヤーとブラケットによる矯正治療では一般的に年単位の治療期間がかかるのに対して、セラミック矯正は、短期間で歯並びをきれいにすることができるのも特徴です。
歯列矯正治療とは
ワイヤー装置を歯に取り付け、歯を移動させて歯並びを整えていく治療を歯列矯正治療といいます。ワイヤー装置は2~3年ほど装着を続け、観察を続けつつ3~4週間に1度ワイヤーの強度などを調整します。ゆっくりと歯を移動させることで、歯並びや噛み合わせを調整していきます。 歯列矯正治療は、歯を削ることはありません。また、顎の骨に異常が認められない限りは、年齢に関係なく治療を受けることができます。歯列矯正というと子供が受けているイメージが強いかもしれませんが、歯への意識が高まる20歳以上の方の治療も増えています。
矯正装置(ブラケット)の種類
矯正治療のために歯に装着するブラケットは、これまで金属製のものが多く使用されてきました。
しかし近年は、歯を速く動かし、かつ矯正中の痛みを軽減する「セルフライゲーションブラケット」と呼ばれる新しいブラケットが広く使われています。セルフライゲーションブラケットは一部に金属製の部品を使用しているため少し目立ってしまうデメリットがありましたが、改良が進みほとんど目立たないような仕様になっています。
そのほかにもさまざまな機能を持ち合わせたブラケットがありますが、患者さまの状態を見極めたうえで、治療により適したブラケットを提案いたします。どのブラケットを使用しても、基本的に治療費が追加されることはありません。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
メタルブラケット矯正(銀色の装置) | 価格が低い | 矯正装置が目立つ |
セラミックブラケット矯正 (歯の色に近い白い装置) |
矯正装置が白いので目立ちにくい | 矯正装置を付けていることがわかる |
裏側矯正(舌側矯正) | 矯正装置が外からは見えない | 価格が比較的高い 装置に慣れるまで発音しづらい |
コンビネーション(上が裏側/下が唇側)/ ハーフリンガル矯正 |
上の歯だけを裏側矯正にすることで、 上下を裏側矯正にするより低価格 |
下側の歯に付けた装置が見えることがある 装置に慣れるまで発音しづらい |
症例集
症例1:1級叢生、乱杭歯、ワイヤー矯正
- 年齢・性別23才、女性
- 治療法・治療箇所上下の歯列矯正(上下ワイヤー矯正)、上下ハイブリッドの目立たない装置使用、上下左右4番抜歯
- 治療回数・期間2年4ヶ月
- 費 用920.000円(税別)
画像から、上下の前歯に歯列不正(乱杭歯)が見られます。上下ともハイブリッド製の目立たない装置を使用して、上下左右の4番を抜歯して歯列矯正で歯並びや噛み合わせを改善しました。
上下の歯並びや噛み合わせはキレイに改善されました。しかし、歯周組織が安定するまでの期間(3~6ヶ月)は後戻りが生じやすいのでリテーナー(保定装置)の装着を義務付けています。リテーナーは少なくとも1~2年間の装着をお勧めしています。
症例2:2級上顎前突症、出っ歯、ワイヤー矯正
- 年齢・性別31才、女性
- 治療法・治療箇所上下の歯列矯正(上下ワイヤー矯正)、上下ハイブリッド製の装置を使用、上顎左右4番抜歯
- 治療回数・期間2年3ヶ月
- 費 用865.000円(税別)
画像から上顎前突症(不正咬合)と判断します。
治療は上下の歯列矯正(ワイヤー矯正)となります。上顎骨の前後的な過成長(成長が大きい)が見られますので、上のみ左右4番の抜歯を必要とします。
上顎前突症の症状は口が閉じにくく、笑うと歯ぐきがたくさん露出(ガミースマイル)したり、無理に口を閉じようとすると下顎のオトガイに梅干し様のシワができたりします。
上顎前突症が改善されました。上記の症状も概ね改善されたと思います。
ドクター山本院長が答える 歯列矯正・セラミック矯正治療Q&A
歯が欠けたまま放置してしまいました…
状態を拝見しました。口内にはたくさんの虫歯があり、さらに噛み合わせにも異常が見られます。特に上の歯の方が悪い状態にあり、総合的な治療が必要です。お近くの大学病院での治療をおすすめします。
前歯がガタガタ…抜歯が必要ですか?
正面から状態を見た限りでは、抜歯のうえ歯列矯正をする治療方法が良いと思われます。骨格と歯の大きさのバランスが悪いため、前歯に叢生(乱杭歯)、いわゆるガタガタな状態が認められます。このまま歯列を整えようとすると、上下前後で安定した噛み合わせを維持できません。そのため、上下4番目の抜歯が必要になると考えられます。治療期間は2~2年6ヵ月、価格は使用する矯正装置にもよりますが、60万円~となります。そのほか、短期間で叢生、八重歯などの色や形、歯並びまで総合的に改善していくセラミッククラウンも選択肢として挙げられます。
下の前歯が内側に…過去に抜歯やブリッジの装着もあり、矯正治療方法の選択肢を知りたい
ブリッジの欠損部(真ん中のみ)をカットすれば、下の歯の部分矯正が可能なのではないかと考えられます。ただし、その場合は上下の中心がずれてしまいます。よりきれいにするのであれば、上下ともに歯列矯正治療を受けることをおすすめします。
重なり具合いを治したい。抜歯は必要か
上下の前歯に叢生(乱杭)が見られます。また、左上に乳歯が残っています。上下の歯列矯正(ワイヤー矯正)が必要な治療だと考えられますが、裏側に矯正装置を付けるリンガル矯正も可能です。乱杭の状態から判断し、上下2本ずつと乳歯1本の抜歯が必要だと思われます。治療期間は2~3年、価格は歯の表側に装置を付ける歯列矯正が80~90万円、リンガル矯正は120万円となります。なお、マウスピースを使った矯正治療は適していないと思われます。
下の歯だけ叢生なのを治したい
下の前歯に叢生(乱杭歯)が認められます。上の歯並びが比較的良い状態なので、下の歯だけの部分矯正で治療できると思われます。ただ、叢生が強いため、そのまま矯正すると上の前歯より前へ出てしまう可能性があります。そのため、どこかの歯を1本抜いて矯正治療を進めることになります。治療期間は1年前後、価格は30~45万円です。
前歯の中心のズレと八重歯が気になる
上の前歯が左にずれており、乱杭の状態になっています。全体を歯列矯正する場合、治療期間は2~2年6ヵ月、価格は80~90万円です。また、奥歯まで診察しないと判断できませんが、部分矯正で済む可能性もあります。その場合の治療期間は6ヵ月~1年、価格は40~45万円です。
前歯4本と下の前歯4本が気になる
上下の前歯に叢生(乱杭歯)が確認できます。前歯の叢生の度合いが大きいので、どこかの歯を抜いたうえで、上下を歯列矯正することになります。治療期間は2~2年6ヵ月、価格は80~100万円です。部分矯正では良い結果が得られないケースだと考えられます。
上と下の歯の八重歯で悩んでいます。部分矯正は?
上下の前歯に叢生(乱杭歯)が見られます。顎と歯のサイズのバランスが良くないため、どこかの歯を抜いて上下の歯列を整える矯正治療をすることになります。治療期間は2~2年6ヵ月で、価格は80~90万円です。今回のケースは、リンガル矯正も可能です。治療期間は3年程度で、価格は120万円です。部分矯正は残念ながら対応できないと判断いたします。
前歯のひとつが斜めに生えて、前に少し出ています
上の前歯に軽度の叢生(乱杭)が認められます。下の歯並びがきれいなので、噛み合わせに問題がなければ上の歯だけの部分矯正がより良い治療方法だと考えられます。治療期間は6ヵ月~1年、価格は30万円~です。
上下反対に噛んでいる歯並び
上下反対に噛んでいる前歯があるので、上下を歯列矯正していく治療が良いと考えられます。治療期間は2年程度で、価格は80~90万円です。
歯並びが全体的に悪いので悩んでいます
上下の前歯に叢生(乱杭歯)と若干の受け口が見られ、上下を歯列矯正する必要があると考えられます。矯正治療は、虫歯や歯周病にかかる前に、早めに始めた方が良いでしょう。治療期間は2~2年6ヵ月、価格は80~90万円です。ご予算についてお困りとのことですが、分割で少しずつお支払いいただく方法も選択いただけますので、ご検討ください。
上顎の歯並びと受け口を治したい
前歯の叢生(乱杭歯)を伴う反対咬合(受け口)という状態です。上下の歯を矯正する治療が良いと考えられます。顎と歯のサイズがアンバランスなので、上下4本の抜歯が必要となります。治療期間は2~2年6ヵ月で、価格は80~100万円です。
噛み合わせが反対になっている
上下の歯の噛み合わせが反対になっており、さらに右上の前歯1本が欠けて中心からずれています。上下の歯列矯正をする必要があるでしょう。治療期間は2~2年6ヵ月、価格は80万円~となります。
前歯の隙間が気になります
上の前歯に隙間があります。2番目の歯(側切歯)が欠損しており、乳歯が残っているようです。このケースで考えられる治療方法は、ワイヤー装置を使った歯列矯正治療です。歯にワイヤー装置を取り付けて歯を動かし、歯並びをきれいに整えていきます。また、欠損した歯については、矯正終了後に補綴する必要があります。