すきっ歯(正中離開、空隙歯列)の特徴と原因
すきっ歯とは、歯と歯の間に隙間がある状態を指します。歯が小さい、顎が大きいなど、歯と顎のサイズの不調和、歯の数が少ないことなどが原因として挙げられます。そのほか、埋伏過剰歯、舌癖、軟組織(上唇小帯)の付着異常などが原因となることもあります。
特にすきっ歯で多いのが、上の前歯を中心として2mmほどの隙間がある「正中離開」と呼ばれるケースです。
また、歯が小さいために栓状型や円錐型に変化した「矮小歯」と呼ばれる、形態異常から隙間が発生する場合もあります。
適切な治療方法
歯の隙間だけのケースであれば、ラミネートベニアによって短期間での改善が見込まれます。これは歯の表面に薄いセラミックのシェルを貼り付けるもので、歯の隙間を埋めたり、色をきれいにしたりできます。通院は2回のみで、治療中痛みはありません。耐久性や強度も天然歯同様にしっかりしているので、外れたり変色したりすることはありません。歯の隙間だけでなく、出っ歯、捻転歯などの歯並び、巨大歯など歯の形も同時に治療する場合は、セラミッククラウン(差し歯)や歯列矯正での治療も可能です。
症例集
症例1:すきっ歯、小、PV2
- 年齢・性別27才、女性
- 治療法・治療箇所左右1番(前歯2本)ラミネートべニア法
- 治療回数・期間2回
- 費 用1本90.000円(税別)×2本 180.000円(税別)
上の前歯に2ミリ前後の隙間(正中離開)が見られます。
このケースにおいては、歯並びや噛み合わせに異常が認められませんので、ラミネートべニア法で隙間を改善しました。
但し、隙間の大きさが3ミリを越えるとラミネートべニア法の適応外となり、部分矯正またはセラミッククラウン法が選択肢となります。
症例2:すきっ歯、大、ジルコニア4
- 年齢・性別24才、男性
- 治療法・治療箇所左右2番~2番(前歯4本)エンプレスおよび神経処置、左右1番ファイバーコア
- 治療回数・期間3ヶ月
- 費 用エンプレス130.000円(税別)×4本、神経処置5.000円(税別)×4本、ファイバーコア20.000円(税別)×2本 580.000円(税別)
画像から、前歯にかなり大きな隙間が確認できます。
この隙間を改善する治療法は上下の歯列矯正または、セラミッククラウン法が選択肢となります。
どちらも確立された代表的な治療法となりますが、歯の隙間と同時に歯の形態を短期間に改善を希望されましたので、前歯4本のオールセラミッククラウン法(ジルコニア)で治療しました。
症例3:正中離開、上下顎前突、ワイヤー矯正
- 年齢・性別29才、男性
- 治療法・治療箇所歯列矯正(上下ワイヤー矯正)、上リンガル装置、下ハイブリッド装置のコンビネーションで治療。上顎左右4番、右下乳歯、左下4番抜歯
- 治療回数・期間3年2ヶ月
- 費 用1.246.000円(税別)
画像から上下の前歯の前突が見られ、さらに上の前歯2本に歯間離開も見られます。骨格的な前後的過成長ですので、上下左右2本ずつの抜歯による歯列矯正で噛み合わせや歯並びを整えました。
装置は上が歯の裏側につけるリンガル装置、下は表(ラビアル)の目立たないハイブリッド製の装置を使用。
リンガル装置は外から全く見えないのが特徴ですが、矯正の期間が多少長くなったり、違和感が表の装置とくらべて大きく、また、オーダーメイドとなりますので、コストも高くなります。このケースで大きく変わったところは前歯の隙間と、横から見た際の口元になります。
ドクター山本院長が答える すきっ歯の治療Q&A
レジン(保険内)ですきっ歯の治療は可能?
症状を拝見したところ、上の前歯2本に小さな隙間、そしてエナメル質形成不全によるものと思われる茶褐色の横線、そして薄いホワイトスポットが見られます。歯の隙間だけが気になるようでしたら、コンポジットレジンと呼ばれる樹脂系のものをダイレクトボンディング法で付ければ、隙間を簡単に埋めることができます。ただし、耐久性や強度の問題で、強い力がかかると欠けたり外れたりする場合があります。また、レジンの特徴として、低価格かつ扱いやすいというメリットはありますが、時間が経過すると変質、変色を起こし、汚くなって目立ってしまいます。歯の隙間を改善するだけでなく、歯そのものも自然な色合いや質感に近づけるのがポーセレンラミネートベニアです。このケースにおいて、より適した治療方法だと考えられます。
ラミネートベニアですきっ歯の治療
前歯を中心に2mmほどの隙間がありますが、それ以外の歯は色も歯並びもきれいです。前歯2本だけラミネートベニアで治療すれば隙間も埋まりますし、口元をトータルで見たときも問題ありません。治療回数は、最短で2回。治療中に痛みはありません。前歯に付けるセラミックは、天然歯に近い強度と耐久性をもっているだけでなく、接着後は変色したり剥がれたりすることがありません。上の歯だけを部分矯正する方法も、選択肢に入ります。
3mmくらいのすきっ歯で悩んでいます
上の前歯に2~3mmの隙間があります。このケースでは、前歯2本のラミネートベニア、または上の歯だけの部分矯正が適していると考えられます。ラミネートベニアは、最短2回の通院で治療が終わります。部分矯正の場合、治療期間は6ヵ月~1年となります。
ラミネートベニアですきっ歯の治療
上の前歯2本に翼状捻転と歯間離開が認められます。適していると考えられる治療方法は、前歯2本のラミネートベニア、または上の歯だけの歯列矯正です。もし歯の隙間だけを治療されたい場合は、ラミネートベニアがより適しています。ねじれや前突も治療されたい場合は、歯列矯正がより良いと思われます。治療費のお支払いについては、デンタルローンやカードでも承っています。
矯正後の歯の隙間が埋まらず…
前の前歯(左右の2番目)に、1mmくらいの隙間があります。治療方法としてはラミネートベニアが適していると考えられます。治療する本数につきましては、2本と4本とでは最終的な仕上がりが若干変わってくる程度なので、なるべく出費を抑えたいということでしたら2本でも問題ありません。この場合の通院回数は2~3回です。矯正装置を外した後、まずはご連絡のうえご来院ください。
前歯の出っ歯とすきっ歯に悩んでいます
前歯2本の間に1mmほどの隙間があります。また、少し前突しているようです。隙間だけを改善する場合は、ラミネートベニアか部分矯正が適していると考えられます。歯の大きさと前突を同時に治療していく場合は、セラミッククラウンが良いでしょう。セラミッククラウンの治療期間は2~3ヵ月なので、成人式の前撮りに間に合います。
全体的にすきっ歯ですが、セラミッククラウン法で治療できるか心配です
上の前歯に数カ所の隙間が確認できるので、この場合に最適な治療方法は、ラミネートベニア法または上だけの部分矯正(ワイヤー矯正)になります。ラミネートベニア法の治療期間は一週間(2回の通院)となります。部分矯正の場合、治療期間は6ヶ月~1年です。
上の前歯の隙間が気になって笑うのをためらいます
前歯に2~3mmほどの隙間があります。このケースは、ラミネートベニアを適用できます。最短での治療回数は2回です。2回の治療のうち、1回目は歯の表面を薄く削って型をとり、2回目に完成したラミネートのシェルを接着して隙間を埋めます。その後は、半年ごとに無料の定期検診を受けていただきます。
生まれつき上の歯が1本足りないすきっ歯です
右上2番の欠損および正中(中心)離開が見られます。このケースでは、上の歯だけの歯列矯正と、右上2番への補綴治療が適していると考えられます。歯列矯正の治療期間は6ヵ月~1年です。また、補綴治療は、右上2番にインプラント、または右上1~3番にかけてブリッジをかけるといった選択肢があります。治療期間は、インプラントが8ヵ月~1年。ブリッジは3ヵ月となります。
下の前歯のすきっ歯
下の前歯の中心に1.5mmの隙間があります。下の前歯の左右1番をラミネートベニアで治療するのが、より良いと考えられます。左右のどちらか1本でもきれいになりますが、バランスや見た目の美しさを考えると、2本とも治療することでより改善されます。治療回数は2回です。また、部分矯正による治療も可能です。
前歯がすきっ歯です
治療方法は以下の3つが考えられます。1.上の歯だけを部分矯正する。歯に矯正装置を付けて歯を移動させる治療です。治療期間は6ヵ月~1年。2.セラミックを被せて歯並びや色、形などを改善するオールセラミッククラウン。治療期間は2~3ヵ月。3.歯の表面を薄く削り、セラミックのシェルを取り付けるラミネートベニア。隙間だけでなく、歯の色も天然歯のような美しさを再現します。2回の通院で治療が終わります。
すきっ歯の治療をしたいのですが、ラミネートベニアとオールセラミックの違いがわかりません
上の前歯に2~3mmの隙間があり、低位置の歯肉ラインも確認できます。この場合は、上の歯だけの部分矯正が適しています。治療期間は6ヵ月~1年、価格はおよそ40万円です。ラミネートベニア(前歯2本のガムシェイプトリートメント併用)による治療も可能です。ラミネートベニアは天然歯のエナメル質に近い性質をもっているので、接着後は外れたり壊れたりすることはありません。高い耐久性を有しています。また、規定内であれば、歯を大きくすることもできます。
上の前歯のすきっ歯の治療は、ラミネートベニア可能? 下の前歯もおなじなら矯正のほうが良いですか?
ラミネートベニアでも短期間で治療できます。ただし、不自然に見えるほどではありませんが、歯の大きさが少し大きく見えることになります。下の歯の隙間も含めてきれいにしたい場合は、上下の歯を矯正治療することをおすすめします。
高校生でもラミネートベニア法で治療できるのでしょうか?人工的になりますか?
このケースでは、ポーセレンラミネートベニアが適しているといえます。適応できる範囲が非常に広いうえ、安全で耐久力もあり、見た目も自然で美しく仕上がります。ラミネートベニアは歯の表面(エナメル質)を薄く削るので、エナメル質の形成が終わっている小学生以上であれば治療を受けられます。高校生であれば問題ありません。
45歳の大人ですが、前歯2本が出っ歯とすきっ歯なので大人でも矯正でなおせるかどうか知りたいです
歯列矯正は子供が受けているイメージがあるかと思いますが、顎の骨に異常がなければ、年齢に関係なく治療を受けられます。すきっ歯の治療方法としては、歯列矯正とラミネートベニアによるものが考えられます。歯列矯正は、矯正装置を歯に付けて、約1ヵ月に1回のペースで装置の強さを調整していきます。その後も2年近く時間をかけてゆっくり歯を移動させ、噛み合わせを整えていきます。治療期間は長くかかりますが、歯を削ることなく歯並びをきれいにできるので、自然な歯を長きにわたり維持できます。歯への意識が高まる成人の方が、歯列矯正を希望するケースが増えています。近年はセラミック装置やハイブリッド素材のように、装着しても目立たない装置が出てきています。さらに、歯の裏側に装置を付けて治療する「リンガル矯正」は、ほかの人からは装置が見えないようになりました。このように、大人の方でも矯正治療を受けやすい環境が整ってきています。