歯の変色や着色、神経を抜いた歯の
変色劣化の特徴と原因
歯の変色はさまざまな原因が考えられますが、まず自然な変化として加齢によるものが挙げられます。これは、歯の表面を覆っているエナメル質が加齢によって薄くなることで、その内側にある象牙質が透けて見えるようになるためです。
外からの要因としては、コーヒーやお茶などに含まれるステインによる着色が代表的です。また、たばこのヤニや、歯垢の付着も着色を引き起こします。神経抜いたことにより黒ずむといった変色もあります。
適切な治療方法
飲食物や歯垢の付着など、歯磨きやクリーニングで着色を除去できるものもあります。
それでは取り除くのが難しい着色については、患部にラミネートベニアやセラミックを被せることで、天然歯に近い歯の色を再現することができます。また、薬剤を使い化学的に歯を脱色するホワイトニングも、選択肢として挙げられる場合があります。
歯のお悩みは色だけでなく、前歯の隙間や、歯の形や大きさなど、複合的な要因が重なりコンプレックスとなるケースが多くなっています。また、数ヵ月から年単位でかかるような治療は受けられないという方もいらっしゃいます。そういったお悩みをトータルで改善していく治療として、当クリニックではラミネートベニアをおすすめしています。
歯の表面を0.5mmほど削り、そこに薄いセラミックを貼り付ける治療方法です。歯の隙間を見えなくしたり、歯そのものを天然歯に近い色合いで白く見せたりすることができます。
耐久性が高いので、接着後は簡単に剥がれるようなことはありません。また、金属ではないので金属アレルギーをおもちの方も治療を受けられます。治療回数も最短2回で完了となり、お時間がない方にも適した治療だといえます。
全てセラミックによって作製されるオールセラミックは、より天然歯に近い透明感のある白さを有しています。また、耐久性も高く、歯肉にも優しい素材になっています。非金属製なので金属アレルギーの方も安心して装着できます。
オールセラミックによって作られたインレーやクラウンは、患部を削ったうえで取り付けていきます。
薬剤を使い、歯を脱色することでより白くする治療です。治療の際は、歯の表面を削ることはありません。しかし、効果の持続性がないので、1~2年ごとにホワイトニングを繰り返していく必要があります。
歯を白く保つためのポイント
まず、飲食物による着色は、日常の食生活を改善することで防ぐことができます。チョコレートや赤ワインなどのポリフェノールを多く含むもの、お茶や炭酸飲料、カレーなど色の濃い食品の摂取を制限することで、ステインの付着を防ぐことができます。
それでも、色の濃い飲食物を摂取した場合は、飲食後すぐに歯磨きやうがいをすることで洗い流しましょう。
また、たばこを吸われる方は、ヤニの付着を防ぐために禁煙をするのも効果があると考えられます。
基本的には、歯垢やステインが付着したままにならないよう、普段の歯磨きをしっかり続けることが大切です。また、虫歯などによって神経を取るような事態に陥らないためにも、定期的な検診を受けることも大切です。
症例集
症例1:黄色歯、レジンの変色、ホワイトニング、ラミネートベニア2
- 年齢・性別29才、女性
- 治療法・治療箇所上顎左右1番(前歯2本)のラミネートベニア法および上下顎のホームホワイトニング
- 治療回数・期間2ヶ月
- 費 用治療費ラミネートベニア80.000円(税別)×2本、ホワイトニング30.000円(税別)×2(上下)、治療費の合計 220.000円(税別)
上下ともに黄色歯で上の左右1番にレジンの変色が認められます。
このケースのポイントは前歯2本に施したダイレクトボンディング法(詰め物)の変色を、ポーセレン ラミネートベニア法(セラミック)で自然な白さに改善すると同時に、周りの歯をあらかじめホワイトニングで化学的に白く漂白し、その色に合わせてラミネートを装着するところにあります。全体として、色の調和が重要となります。
ラミネートベニアはセラミック素材ですので変色や変質がなく、一度接着すると簡単に壊れたり剥がれりことはありませんが、ホワイトニング法は時間の経過とともに少しずつ色の後戻りが生じてきます。お手軽に歯を白くすることができますが、永久的ではないので、個人差はありますが1~2年で繰り返し行うと良いでしょう。
症例2:黄色歯、前歯の前突、ホワイトニング、エンプレス2
- 年齢・性別28才、女性
- 治療法・治療箇所左右1番エンプレス(前歯2本)および神経処置とファイバーコア、上下顎ホームホワイトニング
- 治療回数・期間3ヶ月
- 費 用エンプレス130.000円(税別)×2本、ファイバーコア20.000円(税別)×2本、神経処置5.000円(税別)×2本、ホワイトニング30.000円(税別)×2(上下) 370.000円(税別)
画像から、上下の歯全体に黄色歯がみられ、さらに左右1番(前歯2本)の歯のサイズが大きくやや前突傾向にあります。
治療は、上下の歯全体をホームホワイトニングで白く漂白し、続いて前歯2本をオールセラミッククラウン(エンプレス)で被せて固定。なお、前歯2本は神経処置およびファイバーコアで治療済。また、ホワイトニングの効果には個人差があり、歯の質により白くなる程度が異なる。
ドクター山本院長が答える
歯の変色・着色・神経を抜いた歯の
変色劣化の治療Q&A
前歯がまばらなのと、歯肉と歯の隙間の黒い歯石のようなものが気になる
右上1番にレジンの詰め物の治療跡と思われる変色があります。さらに上の前歯には、ホワイトスポットが見られます。また、歯肉の炎症もあるようです。まず、歯のクリーニングを最初に行なって歯肉の炎症を和らげます。その後、必要な箇所にラミネートベニアを付けていく治療になります。右上1番の詰め物が深い場合は、セラミッククラウンを選択する可能性があります。
神経が抜かれている歯を自然にしたい
神経を抜いたことによる歯の変色には、ラミネートベニアかセラミッククラウンが適していると考えられます。今回の場合、歯がどれほど破折したかにもよりますが、基本的にはセラミッククラウンを被せることになるのではないかと思います。上の前歯は目立つため、見た目がより天然歯に近いオールセラミッククラウンが良いと思います。治療期間は1~2ヵ月で、価格は10~15万円です。
前歯の着色が気になる
この程度の着色でしたら、クリーニングで汚れを取り除くことで本来の白さに戻ると思います。歯の色自体をさらに白くしたいということでしたら、ホワイトニングが適していると思います。そのため、今回のケースではラミネートベニアで治療する必要はないと考えられます。
※妊娠中にホワイトニングを行なうことはできません。
白い歯を手に入れるには
毎日の歯磨きやクリーニングだけでは、本来の歯の色に戻せることはあっても、それ以上に輝くような白さにすることはできません。歯そのものの色を白くするには、ホワイトニングかラミネートベニアが考えられます。ホワイトニングは歯の表面を脱色して白くする治療です。効果の持続性がないので、1~2年ごとに繰り返し治療を受ける必要があります。ラミネートベニアは、薄いセラミックのシェルを患部に貼り付け、美しく白い歯に見せる治療です。